外国人から見て、下北ってもう終わった街?みんな悪く言いすぎじゃない?

下北沢を愛していた外国人観光客が、ネット上での批判的な声に困惑している。果たして下北沢は本当に魅力を失ったのか、それとも過度な批判なのか?

下北沢は“ニセモノ”の街になってしまったのか?

2015年と2017年に下北沢を訪れ、その雰囲気に魅了されたdirtypoison(投稿者)が、3度目の日本旅行を前に困惑しています。Reddit上で下北沢に対する批判的な声が目立つようになり、こんな疑問を投げかけました。

「本当にそんなに悪くなったの?それとも人々が大げさに言っているだけなの?」

彼が過去に愛したのは、ユニークなヴィンテージショップ、レコード店、そして全体的な雰囲気でした。特に焼き鳥と刺身の店での食事は「2回目の旅行で最高の食事の一つ」として記憶に残っているといいます。しかし、下北沢がジェントリフィケーション(高級化)されたこと、そして「本物の古着」ではなく「キュレーションされたヴィンテージ」になったという批判を耳にして不安を感じています。

投稿は36のupvoteを集め、78件のコメントが寄せられるなど、この話題への関心の高さを物語っています。

「変化は過度に批判されている」派の意見

ジェントリフィケーション批判への強い反論

この議論で最も多くの支持を集めたのは、変化への批判そのものを疑問視する意見でした。

「ちょっと開発があっただけでジェントリフィケーションだって大騒ぎするのが好きなんだよね。今でも独立系の店がたくさんある魅力的な街なのに。竹下通りみたいな場所もあるのに、なんで下北沢を叩くのか分からない」MrCog(90upvotes)

彼はさらに、外国人がヴィンテージ店を批判することについても「単に外国人向けじゃないだけ。高いと思うなら買わなきゃいいじゃん」と一刀両断しています。

ジェントリフィケーションとは、従来は労働者階級や芸術家が住んでいた地域に中産階級以上の住民が流入し、地価上昇とともに元の住民が追い出される現象を指します。しかし、下北沢の場合は状況が異なるという指摘もあります。

日本独特のヴィンテージ文化への理解

価格に関する批判に対しては、日本と欧米のヴィンテージ文化の根本的な違いを説明する声が上がりました。

「欧米では『ヴィンテージ=古着屋=安い』って感じだけど、日本ではヴィンテージってワインみたいなもの。1930年代のオリジナルでタグ付きのパンツなら、安くないのは当たり前でしょ。絵画とかアート作品みたいなものだよ。」Agletss(39upvotes)

これは日本のヴィンテージ市場の特徴を端的に表しています。欧米では古着は基本的に「安く済ませるもの」という認識が強いのですが、日本では「希少価値のあるコレクターズアイテム」として扱われることが多いのです。特にアメリカ製の1950年代から1980年代のアイテムは、状態の良いものほど高値で取引されます。

こうした現象はアメリカでも同様のようです。

「アメリカも一緒だよ。スリフトストア(中古品店)で安く手に入るものが、新品と同じくらいの値段で売られていると文句を言うんだ」pgm123(11upvotes)

実際の滞在体験からの肯定的評価

実際に最近下北沢に滞在した観光客からは肯定的な体験談も多く寄せられました。

「9月に下北沢に5泊したけど、すごく楽しかった。ショッピングとか古着には興味なかったけど、いつでもぶらぶら歩き回れるのが最高だった。東京の他のカオスな場所からの良い避難所って感じ」drivebymeowing(32upvotes)

「6泊したけど、他の街と比べて落ち着いてて穏やかな感じがした。観光客だらけって感じもしなかった」cinnanndet(8upvotes)

これらの証言は、下北沢が完全に観光地化されているわけではなく、依然として住宅地としての落ち着いた雰囲気を保っていることを示唆しています。

「確実に変化した」派の意見

長期居住者からの現実的な証言

一方で、実際に下北沢に住んでいる人からは、より厳しい現実が語られました。

「下北沢の長期住民だよ。2017年にここが好きだったなら今でも好きになると思うけど、一般的に観光客には勧めません。観光客が何に魅力を感じるのか分からないけど、日中は観光客だらけだしね。ヴィンテージ服については特に下北沢は勧めないな。高円寺の方がいいよ」No_Might_7789(2upvotes)

より深刻な変化を指摘するのは、1990年代から下北沢を知るlemeneurdeloups(16upvotes)です。

「1990年代の下北沢を愛してたけど、私たちが好きだったユニークなレストランや激安ヴィンテージショップは全部なくなった。小劇場シーンやジャズクラブも閉鎖されてる。もう行くことはないね」

しかし、このコメントに対しては

「小劇場はまだたくさんある。音楽シーンも最高だよ」Hazzat(2upvotes)

と反論するなど、認識に差があることも事実です。たしかに下北沢は目下、開発が進んでおり、街の様子は目まぐるしく変わります。それを「良さが失われた」と捉えるか、「新陳代謝」と捉えるかで意見は変わりそうです。

辛辣な最近の批判

さらに辛辣なコメントも。

「偽物でひどい街だ。2017年以前は確かにクールだった。でもFrankie(編集部注:かつて存在したコーヒーショップ)が潰れたとき、それで終わりだった。観光客の罠みたいなゴミ通りは絶対に避けろ。本当にひどい、大げさじゃない」

このように、お気に入りの店がなくなったことで、街全体の魅力がなくなったと受け取られるケースもあります。

価格への具体的な不満と現実

アメリカ製品の価格設定への驚き

実際に下北沢でショッピングをした観光客からは、価格に関するトピックが寄せられました。中には値段に対する不満を抱える観光客もいるようです。

「先週下北沢に行って、男性用の服を探すのに12店舗は回った。主にポロに注目したんだけど、襟付きシャツ1枚で3,800円から6,900円だった。ポロはアメリカではアクセスしやすいブランドで、普通に35ドルで新品シャツを簡単に見つけられる」Forgemasterblaster(1upvote)

この価格差は確かに大きいでしょう。35ドル(約5,250円、1ドル150円換算)で新品が買えるものが、中古で3,800円から6,900円となると、むしろ中古の方が高くなってしまう逆転現象が起きています。

さらに興味深いのは、Funny-Pie-700(1upvote)の体験談です。

「2023年の下北沢でのおもしろ体験:私が着てたのと全く同じスカートがラックに約35ドルで売られてた。私はアメリカで3ドルで買ったやつ。2000年代初頭のアメリカンイーグルブランドで、特に何もすごくないスカート」

商品構成への失望

価格だけでなく、商品の内容に対する不満もあります。LShaley333(3upvotes)は次のように指摘します。

「下北沢のヴィンテージ店にがっかりしたのは高かったからじゃなくて、ほとんど全ての店が同じものばっかり売ってたから。その『ヴィンテージ』服のほとんどが80年代から90年代のアメリカのTシャツだった。日本のヴィンテージ服を見たかったのに、ほとんどの店がアメリカから輸入したものばっかり。」

確かに、古着ファンからするとオールドアメリカンは超人気商品のうちのひとつ。どの店もラインナップとしては似たようなものになってしまうのかもしれません。実際に足を運ぶと、日本製のヴィンテージアイテムよりも、アメリカ製、特に1980年代から1990年代のカジュアルウェアが主流となっているのは明らかです。

地元民から見た下北沢の真実

「隠れた宝石」神話への反論

外国人観光客と地元民の認識ギャップを鋭く指摘するのは、KindlyKey1(10upvotes)です。

「みんな下北沢を『貧しい苦労してるアーティストが住むユニークな隠れた宝石』って過大評価して、『ジェントリフィケーション』されたって文句言ってる。でも下北沢は世田谷区にあって、東京で一番高い郊外の区で、2つの電車路線があって渋谷と新宿からすぐそこ。貧しい人が住む場所じゃ全然なかった」

そうなんです。世田谷区は確かに東京でも有数の高級住宅地として知られており、下北沢も例外ではありません。電車で渋谷まで約5分(井の頭線)、新宿まで約7分(小田急線)という好立地を考えれば「貧しいアーティストの街」という認識自体が誤解と言えるでしょう。

KindlyKey1はこう続けます。

「地元の焼き鳥居酒屋の店主は1970年代に下北沢に店を開きたかったけど、高すぎてできなかったって言ってた。昔から商業ハブとして知られてたんだ」

実際に下北沢の家賃は高騰が続いています。今や古着屋を開業しようにも、相当の資本がなければ参入できないと言われていますし、飲食店も悲鳴が上がっているようです。

外国人の「ヒップスター街探し」への批判

KindlyKey1は、外国人観光客の行動パターンについても辛辣に分析しています。

「多くの外国人が自分たちのヒップスター街の代替を探してて、それがたまたま下北沢に降りかかった。そして今度はクールじゃなくなって、今度は高円寺に降りかかってる。高円寺が開発されて文句を言う日を待ってるよ」

これは興味深い観察です。外国人観光客が「本物の日本のサブカルチャー」を求めて特定の地域に注目し、その地域が有名になると「商業化された」として次の地域に移る。そのサイクルが繰り返されているという指摘です。

音楽シーンは依然として健在

下北沢の音楽文化への高評価

ヴィンテージショッピングについては賛否両論ありますが、音楽シーンについては一貫して高い評価を得ています。Hazzat(4upvotes)は次のように断言します。

「下北沢は世界最高の音楽シーンを持ってる。そのシーンは色んな面白くて刺激的なクリエイターや芸術好きを引き寄せて、そこのバーや他の社交スペースで出会えるんだ。素晴らしい街だよ。」

「2週間前にライブのために行ったけど、まだかなりクールだった。日本のインディーグループのライブをチェックして」beeboy0(3upvotes)

下北沢の音楽・演劇文化は単なる商業的なものではなく、長年にわたって培われた文化的土壌に根ざしているともいえるでしょう。

変化を受け入れつつ楽しむ姿勢

駅前にバスターミナルができるなど、下北沢は確実に「激変した」のは間違いありません。ですが、外国人にとって、いまだ魅力がある街といえるのかもしれません。問題は外国人観光客の期待値と現実のギャップ、そして「本格的な古着文化」への憧れと商業化された現実との違いにあります。

重要なのは、下北沢を90年代の姿のまま保存された博物館として期待するのではなく、変化しながらも独自性を保つ生きた街として理解することでしょう。音楽シーンや食文化は依然として魅力的であり、ヴィンテージショッピングも日本独特の文化として楽しめます。

ぜひ一度足を運んで、現在の下北沢の姿を目にしてください。