「ハーグ条約に入ったのに何も変わらない」「子どもに会えないまま何年も経った」。日豪間の子ども連れ去り事件を受けて、Reddit上で各国の外国人の親たちから切実な体験談と制度への批判が相次いでいます。
国際的な子ども連れ去り問題の深刻化
近年、国際結婚の破綻に伴う親による子どもの連れ去り(parental child abduction)が世界的な問題として注目を集めています。一方の親が他方の親の同意なく子どもを自国に連れ帰る行為は、残された親から子どもを奪い、子どもからも片方の親を奪う深刻な人権侵害とみなされています。
無論、重大な犯罪行為として外国では問題となっています。ただ、日本に連れ帰ってしまうと、憲法上の制約を理由に自国民の引き渡しを拒否する場合が多く、海外では明確に犯罪行為とされる行為が日本では事実上保護される構造となっています。子どもの連れ去りに対処するためのハーグ条約に批准しているにもかかわらず、実効性は疑問視されています。
日本は「子ども連れ去り天国」と呼ばれてること、どう思う…??
議論の発端:日本の法律は、fucking disgusting(マジでクソ)
日本とオーストラリア間で起きた子ども連れ去り事件のニュースを受けて、激しい議論が巻き起こりました。これは単なる二国間の外交問題じゃなく、日本に住む多くの外国人の親が直面している深刻な現実を浮き彫りにしています。
OgdensNutGhosnFlake(116upvotes)は強い怒りを込めてこの問題の本質を指摘しています。
「これがまだ続いてるのはマジでムカつく。日本は時代に合わせて、署名したハーグ条約の精神を実際に守るべきだ。日本の法制度では、最後に子どもと一緒にいた親が単独親権を取れて、もう片方の親を完全にシャットアウトできるんだ」
さらに制度の根本的な欠陥について説明を続けます。
「日本のシステムには民事の親権争いを強制する仕組みがない。アメリカ国務省が2018年に調べたところ、日本人の親が裁判所の子ども返還命令を無視しても『命令を強制する効果的な手段がなく、その結果として無視するパターンが続いている』って分かった」
当事者の生々しい証言:11年間子どもに会えない父親
最も多くの共感を集めたのは、LieutenantNyan(104upvotes)の壮絶な体験談でした。
「ひどい状況で、終わりが見えない。2014年に日本がハーグ条約に入ったら状況が変わると期待してたけど、今日まで何も変わってない。強制しない限り今までと一緒だろう。国務省が日本での子ども誘拐について警告を出してるのは悲しい」
彼は自分の状況についてさらに詳しく語ります。
「悲しいことに、(合法的にであれ、他の方法であれ)子どもたちを連れ戻す手段がない。ほとんどの親と同じで、あらゆる手を尽くした。子どもたちを取り戻そうとすれば、ほぼ確実に刑務所行きだ。これが子どもたちを取り戻そうとしなかった唯一の理由で、元妻は迷わず警察を呼んで何かでっち上げるだろう」
この問題に対処するため、1980年にハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)が制定され、現在100カ国以上が締結しています。日本は、長らく同条約に加盟せず「子ども連れ去り天国」と呼ばれてきました。
実際に、アメリカやヨーロッパ諸国では、子どもを連れ去った日本人女性が「国際的な誘拐罪」で指名手配される事例が相次いでいます。FBIの国際指名手配リストに掲載されたケースもあり、インターポール(国際刑事警察機構)を通じた国際手配も行われています。
日本は2014年にようやく条約に加盟したものの、その実効性については疑問視する声が後を絶ちません。
「ただ、願うしかない…」
LieutenantNyan は元妻を見つけるための執念深い努力についても明かしています。
「元妻の居場所を見つけるのに何年もかかった。見つけられた唯一の理由は、メールを送り続けて、追跡サービスで彼女のIPアドレスと位置情報を取得したから。この情報で何かできるわけじゃない。子どもたちが、彼女が何年も嘘をついてたことに気づくのを願うしかない。それまでは待ち続ける。つらいけど、それしかできない」
彼は現在の状況を詳しく説明しています。
「息子は1月に21歳になり、娘は6月に20歳になる。すべてのソーシャルプラットフォームで彼らを探そうとしたけど、見つけることができなかった。彼らが通ったと思う高校の卒業アルバムにアクセスして、手がかりを見つけようとした。最後に会った時はすごく小さかったので、今どんな見た目かわからない。いつか見つけるだろう」
英語教師たちが語る「もし俺が日本人女性と結婚してたら…」
現場で働く教師からの証言
sjfcinematography(68upvotes)は、英語教師として日本で働く中で目撃した現実を語っています。
「日本に最初に来た時、この件について警告された。最初は信じてなかったけど、急いで結婚したり子どもを作ったりした多くの男性に同じことが起こるのを見た」
彼が特に印象に残っているエピソードを共有しています。
「英語を教えることはそれほど嫌いじゃなかったけど、小さな村で子どもを教えている中年男性がいるんだ。3年半も自分の子どもに会えない人でさ。もし私が結婚を急いでいたら、将来そうなっていただろう...」
本国でモテない男が、日本に来るとなぜかモテる罠
sjfcinematography は、多くの外国人男性が同じ罠にハマる理由について分析しています。
「一緒に働いた男性たちは、母国では女性からあまりモテなかったけど、日本に来ると突然、美しい日本人女性が結婚したがるようになった。日本人女性は早く結婚するプレッシャーがかなりあるから、彼女たちは急いで、男性もそれに付き合う。すごく愚かだけど、日本でも故郷でも、初恋に盲目になって、他に誰も想像できないから付き合った友人を十分に見てきた」
彼は責任の所在について複雑な見解を示しています。
「結婚相手を十分に調べなかったのは部分的に男性の責任か?間違いなくそうだよ。単に他の国に行って魅力的に見られるのではなく、女性ともっと成功するために自分を向上させるべきだったんだ。だからと言って、子どもを奪われるのは絶対に違う」
成功事例:忍耐と配慮による関係修復
11年かけて関係を築いた父親の体験
すべてが絶望的というわけではありません。あるユーザーからは、希望的な体験談も寄せられています。
「息子が生まれた後、息子に会えなくなった。彼は今11歳で、素晴らしい関係を築いている。母親とも仲良くやってる。何をしたかって?日本語を学んでとにかく慎重に行動して、長時間考えてから返信するようにしたんだ。裁判所は使わなかったよ。それに、すごく理不尽な面会時間と引き換えに養育費の支払いに同意した」
彼は長期的な戦略について説明しています。
「もちろん最初の数年間は腸が煮えくり返った。でも、だんだん楽になって、最終的に氷の壁が溶け始めて、元妻は私が息子を外に連れ出すことに安心感を持つようになった。すべてのケースでうまくいくかはわからない。けど、日本人の配偶者に子どもを奪われた時の最善の策は、冷静でいて、慎重に行動し、絶望しないことだね」
日本人女性と結婚した別のユーザーは結婚生活の現実を語っています。
「日本人の妻との関係は良好。それでも、数年前に彼女が離婚した仮定の状況で、”子どもたちを日本に連れて行けるか”と聞いてきた時、『正気?』って答えたよ」
制度改革への議論:構造的問題か文化的問題か
人種差別問題としての側面
miurabucho(32upvotes)は、この問題を日本社会の構造的問題として捉えています。
「これは夫婦間の揉め事が原因なんだよ。たいていの場合、夫婦関係はもう破綻してて離婚する流れなんだけど、どっちか、あるいは両方が『相手に子どもを自分の母国に連れて行かれるかも』って不安になって、先に子どもを連れ去っちゃうってわけ。やってることは冷酷だし、こそこそした、必死な行動だよ。離婚の真っ最中に、政府がどっちの味方をするべきじゃない。なのに日本政府は、日本人が外国人と結婚したときには、日本人を守る方向に動くから、結局いつも外国人側が負けるんだ」
家族法制度の根本的欠陥
rtpg(22upvotes)は、より構造的な視点から問題を分析しています:
「国内のケースだと必ずしも外国人が負けるわけじゃないけど、国際的な子どもの連れ去り案件になると、勝つのがめちゃくちゃ難しくなる。日本の裁判官が親権を決めるときって、「どっちがより良い親か」で選ぶのに慣れてて、共同親権みたいな“妥協案”はそもそも選択肢にないんだよね。これは日本人同士の夫婦でも同じ問題。だから、これを「人種差別の問題だ!」って話にするのはあんまり意味がないと思う。実際は、家族法の制度上の問題であって、裁判官に与えられてるツールがそもそも足りてないんだよ。」
国際条約と国内実施のギャップ
tensigh(54upvotes)は日本の国際条約への姿勢について指摘しています。
「日本は条約に署名してから自分たちのやり方を続けるという評判が少しある。これは本当に驚くことじゃない」
家族法における共同親権の概念は、離婚後も両親が子どもの養育に関する権利と責任を共有する制度です。多くの欧米諸国では一般的ですが、日本では2024年まで単独親権制度のみでした。この制度的な違いが、国際結婚カップルの離婚時に深刻な問題を引き起こす要因の一つとなっています。
支援ネットワークと絶望の連鎖
ハーグ条約は無意味…
ForeverAclone95(35upvotes)は、被害者たちのネットワークについて証言しています。
「こんな話、もう何人と会ったか分からないよ。子どもを取り戻したくて、人生を捨てる覚悟で日本に移住してきた人たち。でも結局どうにもならなくて、全部ムダになってる。ハーグ条約を日本が批准したって言っても、実際は何の役にも立ってないんだよね。」
LieutenantNyan は経済的な側面についても言及しています:
「私立探偵や日本の弁護士は当たり外れがある。ほとんどの人は持っているすべてのお金を使って、何も得られずに終わる」
結論:制度改革への長期的な取り組みの必要性
Reddit上での議論をまとめると、日本の子ども連れ去り問題は簡単な解決策のない複雑な構造的問題であることが明らかになります。
ハーグ条約の批准は重要な第一歩でしたが、実際の運用面での改善は限定的です。「最後に接触した親が親権を得る」という日本独特のルールや、共同親権制度の欠如、そして執行メカニズムの不備など、根本的な制度改革が必要とされています。
文化的な要因も無視できません。日本では離婚後の「クリーンブレイク」(完全な関係断絶)が好まれる傾向があり、これが共同親権や面会交流の概念と相容れない部分があります。
日本ではあまり知られていないけど、外国では大きな問題になりつつある「親による、この連れ去り」については、多くの人々がこの問題の深刻さを理解し、制度改革に向けた継続的な努力を支援することが必要でしょう。